
まったく人影のない温水の川が流れるという秘湯。以前から、一度行ってみたいと思っていたのが、この沼尻元湯だ。麓の中ノ沢温泉街のホテルや旅館の温泉は、ここが源泉となっている。
これまで行きたいと思っていた野湯が、3つある。1つは、秋田県の河原毛大湯滝、2つめは、宮城県の鬼首温泉近くの荒湯(兵庫県の荒湯ではない)、そして福島県の沼尻元湯だ。先の2つは、すでに行ったことがあり、想像通りの素晴らしい野湯だったが、沼尻元湯にまだ行ったことがなく、今回の旅行となった。


新幹線で郡山まで行き、郡山駅でレンタカーを借りる。コンパクトカーで十分だ。今回は、ホンダのフィット。ハイブリッド車だ。ガソリン価格が高騰しているので、ラッキーだ。
今回のホテルは、中ノ沢温泉にある磐梯名湯リゾート ボナリという温泉ホテルだ。ボナリという言葉は外来語かと思ったが、実は母成という地名から来ていることがわかった。
翌朝、近所の散歩や温泉を楽しんだ後、遅めとなったが、沼尻元湯を目指すべく出発した。1時間ほどの山歩きが必要だが、まずは車で最寄りの駐車場まで行くことになる。ところが、なんと8月初旬の大雨の影響で道の整備が必要とのことで、工事車両通行のための車両通行止めとなっていて、麓の田村旅館あたりから歩くことになった。1時間近く余計に歩くこととなる。しかし、ウォーキング自体も旅の目的でもあるし、間違いなく人も少ないと思ったので、問題なし。

冬はスキー場になるところで、夏は快適なハイキングルートだ。ただし、しばらくは車道を歩くことになる。それでも、天候に恵まれ、眼科に広がる素晴らしい景色を眺めながら、ウォーキングが楽しめる。ただし、上りなので息が切れる。
ようやく登山道に入る駐車場に到着。誰もいないと思っていたのに、結構な車の数、10台はあるだろうか。なんだよ、という会話が頭の中で響く。
とは言っても、人はいない。登山道を登り始める。まもなく白糸の滝を眺められる展望台兼ベンチのある休憩所に到着。なかなか見事な滝だ。まだ登り始めたばかりだが、一休み。
ここからは、登りが中心になるので、時に休憩を挟みながら登る。40分ほどで、沼尻元湯が見えてくる。温泉の沢は、山間の谷となっており、かなり急な坂を気をつけながら降る。硫黄の匂いがしてくる。


途中、湯の花や工事用資材を運ぶ運搬用ゴンドラが目に入る。


降ると、白濁した川に到着。もちろん川の流れに手を入れて温度を確かめる。おお、暖かい。40度はない。でもこの暑い時期にはちょうど良い温度だ。
かなりの汗だくになったので、周りに誰もいないのを確かめて、川に浸かってみる。なんて素晴らしい!絶妙の温度の温泉に浸かりながら(腰から下だけだが)、付近の荒涼とした景色を眺める。適当な湯船はないので、あちらこちらと、快適さを求めてうろつくことになる。何せ、ごく浅いせせらぎ?のような川なので。
温泉を楽しんだ後は、帰路に着くわけだが、同じ道を戻るとなると、かなり下ったので、また登ることになる。



温泉のパイプ等の整備なのか、湯の花の採取の人なのかわからなかったが、仕事の合間に一休みしている人を発見したので、川沿いの道が通れるのか聞いてみた。
本来、業務用の道で一般客は通れないのだが、断然楽なので、行ったら良い、と言ってくれた。
途中、崖を下に見ながら縄をつたったりするような場所もあったが、30分もかからず駐車場に到着。
温泉に浸かるためのみが目的なら、沼尻元湯はお勧めしないが、ワイルドさでは荒湯以上に素晴らしく、またアクセスの不便さゆえの人の少なさもお勧めポイントだ。注意すべきは、硫化水素で、風がないと硫化水素が沢に溜まって、中毒を起こすことになるので、まさに自己責任で行く必要はある。

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